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京都の設計事務所「齊藤誉征アトリエ」の日記です。
by a_takayuki_saito
長江家住宅主屋「北棟」
8月22日に、京町家の建築基準法を適用除外する際の技術的基準を利用した第一号の事例として、下京区にある長江家住宅主屋「北棟」の復元修復工事の発表がありました。

建築基準法を適用除外する際の技術的基準は、今年の四月から運用されている制度で全国でも初の制度で、京町家でも、技術的基準を満たせば、増築や簡易宿所への用途変更が可能になります。

今回の事例は、所有者の企業と大学が共同で、復元修復工事・調査を行うもので、工事完了後は文化事業等に活用できる施設になるようです。住居としての事例では無いのが少し残念です。

今までは、京町家は増築出来ない事が最大のネックでしたが、今後はこのような事例が増えていけば良いと思います。

下に、建築基準法を適用除外する際の技術的基準を記載しておきます。

1.対象
 階数2以下、高さ10m以下、軒高9m以下、延べ面積200m2以内の京町家(長屋建てのものを除く)
2.技術的基準
 ア.地震に対する安全性
  ・劣化部分の健全化の実施(柱・はり等の構造部材の補修等)
  ・耐震改修の実施
 イ.火災に対する安全性
  ・土壁や木現しの軒裏、木製建具等の京町家らしい遺書を残しながら安全性を確保することができる防火改修の実施
  ・電気配線の改修、感震ブレーカーの設置、住宅用火災警報器、消火器等の設置等の出火防止・初期消火のための措置の実施
 ウ.敷地周辺の環境保全(建物規模)
  ・建ぺい率制限の超過や道路内建築物制限等の不適格部分(軒先の道路突出)の現状維持を許容。

耐震改修は、コストがかかりそうですが、道路内に軒先が飛び出している町家を良く見かけますが、そのような町家でも、増築や簡易宿所への用途変更ができるようになるので、それなりにメリットはあると思います。
(津島)


by a_takayuki_saito | 2017-08-29 17:03 | 建築
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